解離性障害?とコミュニケーション(1:出会い~原因)
はじめに
今までに担当した中で二人。この症状だと思う人がいました(いや。本人が認めてるくらいだから確定かな)。YさんとSさん。今回はそのYさんのことについてです。
担当した中で出会った解離性障害の症状
(依頼までの状況)
Yさん・・・高1から担当。県内有数の進学校に進学するも、その学校に入ったことでいわゆる「燃え尽き症候群」になり、授業に出なくなっていき、学校を欠席したり、登校したとしても保健室登校や相談室登校。親および祖父母からは医学部へ進学できるようにとの依頼。
ある日のこと・・・
親とケンカしたということで、少々イライラしている様子。このままでは勉強するのも少し厳しいと判断して、雑談などをしながら話を聞いてみようと考えました。話をしているうちに、今までのこととかを思い出してきたようで興奮状態になり・・・すっと落ち着いたと思ったら・・・
Yさん(以下 Y):誰?(低く、落ち着いた、ゆっくりとした声で)
講師(以下 講):えっ?どういうこと?
Yさんじゃ・・・ない・・・んですか?
Yさんじゃないんならゴメンなさい。Yさんじゃないんなら・・・初めましてですね。え~っと、Yさんの家庭教師のGです。
Y:ふ~ん。
講:いわゆる「別人格さん」ってやつですか?
Y:驚かんの?
講:いや~知識としてはこういうのがあるってのは知ってたけど、実際にお目にかかれるってのは、ある意味貴重なデータ・・・あっ違う、経験になるなあ・・・って思って。ちょっと興奮しますな!
Y:変わった人やな・・・。今までの家庭教師の人たちって、こういう状態になったら、なんか微妙は空気になって、だいたい辞めていったから。
講:そっか・・・。ま、知識がなかったらびっくりするかもね。
こんな感じで、最初の出会い(?)がありました。
別人格との会話より
で、次の回・・・
Y:先生。前回、気づいたら終わってたんですけど・・・。
講:ああ、なんか疲れてたんかなあ・・・。(別人格のことは言わんとこ)
Y:いや。そういう次元じゃなくて、この前の勉強時間って昼でしたよね。
講:そうやね。
Y:気づいたら夜中だったんですけど・・・。
講:ほう・・・。
Y:ひょっとして・・・何か変なこと言ったりやったりしてませんでしたか・・・?
講:う~ん。どうやろ・・・。逆に聞きたいんだけど、そういうことってよくあるん?
Y:たま~に。でも、ずっと寝てたわけでもなくて、日常生活は送れてるみたい。
講:と、いいますと?
Y:ごはん食べたり、お風呂入ったりとかはちゃんとしてたっぽい・・・というか・・・。
講:勝手にやってたってこと?自分の知らんところで自分が・・・?
Y:そうなんですよ・・・。突然やけどビリー・ミリガンって知ってます?
講:解離性なんちゃら・・・の人・・・だっけ。
Y:そう。なんかこの前ネットで見てさ・・・なんかね・・・。
講:似てるって?
Y:うん。
講:思いあたる節が・・・?
Y:かなり。
講:ま、そこまで分かってるんなら・・・。多分やけど、この前にお会いしたよ。
Y:やっぱそうか・・・。そうやって考えれば辻褄が合ってくるんだよね。なんかちょっとほっとしたような不思議な感じ。引かんかった?
講:いやあ・・・本とかで知識はあったけど、実際に会ってみるのもいい経験やん。
Y:変わった人やねえ・・・。
講:それ、別の人格の人にも言われたで。
という感じで話は続いていきます・・・
さらに別の人格も
そうこうしているうちにしばらくの期間が過ぎ・・・
ある日のこと・・・
講:こんにちは。おじゃまします。(ん。なんかテンション低いな・・・)
Y:えっと・・・。
講:ああ。別の・・・。
Y:そう。
講:なんかさ・・・前の人とも違う・・・?
Y:前?
講:何週間か前に会った・・・
Y:違う・・・。
講:そっか・・・。じゃあお名前聞ける?
Y(みゆき):みゆき。
講:ん。分かった。
Y(みゆき):引かんの?
講:本人と前に会った人・・・。あ、名前聞くの忘れた。その二人にも同じこと聞かれて、同じこと答えたんだけど、引くという興味深いやん。本とかで知識はあったけどさ、実際に会えるってなると、また違ってくるやん。
Y(みゆき):変わった人やな・・・。
講:二人にも言われたで。
Y(みゆき):ま、いっか・・・。で今日は?
講:いちおう・・・勉強のために来てるんだけどねえ・・・。これじゃあ勉強にならんよな・・・。
Y(みゆき):そうやろね。っていうかYは「いっぱいいっぱい」って状況やで。分かってる?
講:そうなんよね。あれから、自分でもこういう状況についてさらに勉強したんだけどね。どういうときにみゆきさんみたいな人が現れるんだろうって。
Y(みゆき):で、分かったん?
原因と状況
講:なんか、今までのことから考えると・・・自己防衛・・・?かなあ。
Y(みゆき):まあ、そんなとこなんだろうけどね。
講:キツイことでもあったん?
Y(みゆき):聞いてるでしょ。Yから。
講:まあ、そうやね。医学部に入るしかないって状況ってこと?
Y(みゆき):他にも。
講:そういえば、学校のこととか、親のこととか、聞いてる限りでも、なかなかキツそうやなあ・・・って。思うよな。手にもリスカの跡あるし・・・。
Y(みゆき):そういうこと。Yが処理しきれていないっていうか、パンクしたときに、「誰か別の人格」が現れているはず。
講:「誰か」ってことは何人もいるん?
Y(みゆき):私にも全体はよく分かっていないけど、5人くらいかな・・・。
講:どんな状況になってるん?
Y(みゆき):イメージとしてはさ。丸いステージがあるでしょ。スポットライト浴びてるような。その部分が「表」に現れている部分ね。普段というかほとんどはYがそこに乗ってる感じ。けど、辛すぎたりしたときにYがそのステージから降りちゃう。で、誰かがそのステージに上がらないといけないんだけど、基本的にみんなやる気ない人ばっかりだから・・・今回は私が。
講:そんなふうになってるんか・・・なかなか興味深いシステムだよね。
なんか普通に人と話しているような状況でしたが、本人とはまるっきり別の人と話しているような状況でした。この状況までくるのにもそれなりの期間がかかっています。
このあとさらに話は進んでいきます。